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(22)  「天王寺動物園と私」   宮下実園長より    (6/8)
獣医師は注射を一本打ってくれた。「これで大丈夫」と言う彼の言葉を、私は神様の託宣
のように聞いた。よかったよかった、これでムシが死んで、明日からチョロスケは元気に
なる。家まで抱いて帰る足取りも軽かった。母には一本注射してもらったので直によくなる
と伝えた。
 暑い日差しを避けるために、風の通る裏庭に箱を置きその中に横たえた。動物病院を出る
ときに比べ、何か心持ち反応が鈍いような気がしたが、今、じわじわと薬が効いて腸のなかの
寄生虫が苦しみながら死んでいるのに違いない、もう少し経てば元気を取り戻すのだろうと
思った。しばらく経って箱の中を覗くと、どす黒い下痢便をまた排泄していた。拭き取るために
抱き上げた時、異変に気がついた。頭を支える力がなく体全身無力な状態。地面に横たえて
心臓のあたりを指で探ったり、呼吸をしているのか胸の動きに注意したが、おかしい。かれこれ
五分ほど見ていただろうか。チョロスケは死んでしまったと実感した。なぜなのだろう。
あの獣医師は治ると言ったではないか。悔しさと悲しさの入り混じった中で、その獣医師の
悪口を言い続けていた。高校2年の初夏の暑い日であった。
 昆虫学者を目指していた私が、一転、獣医学へと目を向けるきっかけとなったのは、この
チョロスケの死が原因といえるだろう。藪医者にかかるくらいなら、私が治そうではないかと。
それに私の飼うイヌはあまりにも皆短命であった。イヌが好きなのにもかかわらず長く生かせ
ないのは、イヌに対する知識が欠けているのにちがいない。イヌを治せる獣医師になるべきでは
ないだろうか。私の心のなかでは将来への葛藤が続いた。高校2年が終わろうとしているのに
どちらの道へ進むか、私はまだ決めかねていた。

    (新世界NOW 宮本)
 Copy right(C) 2009 宮下実「天王寺動物園と私」  All rights reserved
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